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絵本朗読LIVE『ビロードのうさぎ~モノクローム~』オフィシャルレポート 

2025年2月5日に行われたゲネプロをレポート!

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2025年2月6日(木)~2月11日(火祝)、R’sアートコート(東京都新宿区)にて佐藤アツヒロ演出による絵本朗読LIVE『ビロードのうさぎ~モノクローム~』が上演される。公演前日にはゲネプロが行われ、役者たちの心のこもった朗読が披露された。

 

アーティストとしての音楽活動はもちろんのこと、役者活動や演出など、多方面にて精力的な活動を行っている佐藤アツヒロが今回立ち上げたのが「PEaCE PROJECT」。“作品を通して観客にポジティブで心温まる体験を届け、その時間が大切な思い出として心に残るような舞台づくりを目指そう”という思いを持つ同志が集い結成されたプロジェクトチームで、今後も継続して展開していく予定。

 

「PEaCE PROJECT」チャレンジ第一弾は“絵本朗読LIVE”。佐藤自身、今まで苦手意識を持っていた朗読劇だが、「自分がやってみたい、楽しいと思える朗読劇を自分で作ってみよう」という考えから、今回初挑戦することになった。記念すべき第一弾に選ばれた『ビロードのうさぎ』は100年以上前にイギリスの作家によって書かれた作品で、ひとりの少年とビロードでできたうさぎのぬいぐるみの日々を描いた温かくそしてちょっとほろ苦いストーリー。この作品に対する佐藤の熱い思いをしっかりと受けとめた脚本家の白川ユキが、温かい目線で現代に生き返る新たな物語へと昇華させた。

 

今回の朗読劇のサブタイトル“モノクローム”だが、佐藤にとって朗読劇は初めての挑戦、そして『ビロードのうさぎ』は「PEaCE PROJECT」としての最初の作品であり、公演回を重ねるごとに物語にもどんどん新しい色を足していけたらという思いや、少年と出会ったことで最初は単色だったうさぎの心がいきいきと変化していく様子など、さまざまな意味を持っている。

 

絵本の朗読劇と聞けば、ほとんどの人が メルヘンチックでかわいらしい世界を想像するだろう。 しかし客席に一歩足を踏み入れると、その想像とはまったく異なる世界が目の前に現われる。そこは絵本というイメージとはかけ離れた“白と黒” 、まさにモノクロの世界。ステージの壁一面に広がる白い本棚と、ステージから突き出たランウェイのみ。ステージ上手には生演奏で朗読劇をサポートするバンド。 キャストたちが身にまとうのは絵本の朗読劇とは思えない、ファッショナブルな衣装。佐藤が考えた今回の朗読劇のイメージはなんと「ファッションショー」!子供が出てくる絵本の世界のイメージはそこには無い。とにかく徹底的に予想を裏切って来る。 しかし、これには理由がある。 無機質な空間の中で絵本の朗読を聞くことで、それぞれがそれぞれの絵を頭の中で思い描き、自由に楽しんで欲しいということが、一番佐藤のこだわった部分。

 

今回、主役を演じるのは 佐藤と同じくSTARTO ENTERTAINMENT所属の田仲陽成 と 堀口由翔。この二人が「少年」役と「うさぎ」役を前期・後期で交代して担当する。

 

この日公開されたゲネプロでは 田仲陽成 堀口由翔 石橋弘毅 奥谷知弘 鈴木千佳子 佐藤アツヒロのチームが出演。 田仲が「うさぎ」、堀口が「少年」を演じた。

 

公演の始まりにバンドが奏でるアグレッシブなサウンドもまた絵本の世界とは異なる雰囲気。今から一体どんな朗読劇が始まるのか予測不能!ワクワクがどんどん増していく。

白い本棚から本を一冊選び、読み始める鈴木千佳子。「お手伝いさんのナナ」、「妖精」「語り手」の3役を担当する。おおらかで大きな愛をもって少年の世話をするナナ、うさぎたちを新たな幸せに導く心優しい妖精を絶妙な声の高低や強弱で演じ分ける。頭の中にナナや妖精の姿がくっきりと浮かんでくる。

 

「うさぎ」を演じるのは田仲陽成。いろいろなことを知らずちょっぴり不安な中、それを隠したり見栄を張ったりすることなく正直な姿を見せる様子や、少年と楽しく過ごすうちに幸せを感じてどんどん生き生きとした様子を見せていく愛らしい「うさぎ」は田仲にピッタリだった。うさぎを大切にする「少年」を演じるのは、堀口由翔。うさぎという友達ができたことを本気で喜び大切にする、純真無垢な少年をとても上手に表現していた。事務所に同日入所し、普段からとても仲の良い田仲と堀口は息もピッタリ。一緒に遊ぶシーンは、本当に楽しそうだった。

 

「ボート」と「本物のうさぎの兄弟」を演じた奥谷知弘は、あとから家にやってきたうさぎに対し知ったかぶりをしたり虚勢を張ったりするボートの揺れ動く心情を味わいのある声で見事に表現していた。「木馬」と「本物のうさぎの兄弟」を演じた石橋弘毅は多くの経験を積んで来た木馬を、おだやかで優しく落ち着きのある語り声でじっくりと聞かせ、心和ませてくれた。

 

今回の舞台の演出と共に、「医師」役として登場するのは自身初の朗読劇チャレンジとなる佐藤アツヒロ。有無も言わさず厳しい判断を下す厳格な医師をきっちりと演じている。登場時間は短いが、多くの舞台出演で培った流石の表現力で魅了する。無駄な装飾が一切ないステージから聞こえて来る役者たちの声によりさまざまな場面が次々浮かび、自分だけの絵本が頭の中にどんどん出来上がっていく楽しさ。佐藤アツヒロがやりたかった朗読劇の世界は、来場者に充実した時間を与えてくれる。

 

公演中、常にカメラが役者の表情を映し出す。 白い本棚がスクリーンとなる。細かな表情が見ることができる上、役者が語っている時、後ろのスクリーンには他の役者の表情も映し出され、お互いの感情の変化を常にしっかり見ることができる。

 

今まで観たことのない、あえて異なるものとのフュージョンがやけに心地良い絵本朗読LIVE『ビロードのうさぎ~モノクローム~』 。公演を観た帰り道、きっと心が満たされているのを感じるだろう。 なお、公演は6日間12公演行われ、4公演ずつ一部キャストが異なる。いろいろな組み合わせを観ることで新たな発見や感動を楽しむことができる。

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